言わずと知れた星飛雄馬のライバル、左門豊作。
その兄弟もまた、巨人の星を彩る重要な登場人物となっています。

出る回数は少ないのに、インパクトは半端ない・・・という意味では、巨人の星における、江頭2:50 のようなものなのでしょうか。笑

というわけで、今日は、巨人の星に出てくる「左門豊作の兄弟」について書いていきたいと思います。

左門豊作の兄弟は5人(豊作入れて6人)

兄弟の名前は、ちよ・じろう・まさひろ・みち・さぶの5人
豊作を入れて6人です。

左門は、兄弟の名前を呼ぶ時、必ずこの順番で呼びます。(この辺りにも、左門の律儀さが・・・)

この中で重要なポジションを取るのが長女のちよと三男のまさひろ。

長女のちよは、兄弟の中では最も出番が多く、兄の留守を守っている主婦的な立ち位置。
家事をこなし、幼い兄弟をしっかりと世話しています。
でも、何歳なんだろう・・・?

三男のまさひろは、兄弟の中で最も観察眼が優れています。
大リーグボール1号打倒に向けた、阪急西本監督の作戦を先読み?していたり、大リーグボール2号を双眼鏡で発見したり・・・何気に、物語の展開の鍵を握っていました。

甲子園で星飛雄馬のコントロールを狂わせた最強の敵 = 左門豊作の兄弟

甲子園(高校時代)で左門豊作と星飛雄馬が対決した時、飛雄馬に立ちふさがったのは、左門豊作の兄弟でした。

圧倒的な豪速球とコントロールで高校球界の度肝を抜いていた飛雄馬。
ところが、左門の幼少からの生い立ち、そして兄弟のために死に物狂いでのし上がってきた生き様を聞いてしまった結果、左門を倒す気持ちが揺れてしまいます

左門が子供の時に父母が死去。
遠い親戚(農家)に引き取られ、左門は朝から晩まで農作業でこきつかわれます。
兄弟は幼いために働けず、その分も重労働を課せられる左門。
でも、そのおかげで筋力がつき、弾丸ライナーを飛ばすパワーを手に入れるのです。

高校進学前には県下の多くの高校からスカウトされて、高校進学を勧められます。
その時に、左門の進学をしぶる親戚を説得したのが、兄弟たちです。

左門を高校にいかせるため、自分たちが代わりに働くからと、親戚に頼み込む兄弟たち。
漫画を読むと、左門の進学後に命を削って頑張っている様子が伝わってきます。

一方の左門は、兄弟たちのためにも、高校野球からプロに入ってバット一本で人生のどん底から這い上がらなければなりません
その執念が左門豊作の弾丸ライナーの秘密だったというお話。

さて、この話を聞いた飛雄馬は・・・もう、心が乱れに乱れます。
元々、情にもろい飛雄馬。
自分が豊作を倒せば、左門はプロに行けず兄弟たちは幸せになれない・・・と思うと、投球ままなりません。
漫画でも、投げ続ける旅に、飛雄馬の全身に左門の兄弟たちがぶら下がっているという幻影が描かれていて(ここ、ちょっと怖い・・・汗)、飛雄馬の葛藤が並々ならぬものであることがわかります。

結局、飛雄馬は左門を抑えますが、

  1. 最後の打席でピッチャーライナーを捕球
  2. 左門のバットが折れて飛雄馬を襲う
  3. 飛雄馬はバットを左手のチョップで叩き落とす

という流れの中、飛雄馬は左手親指の爪を割ってしまうという事態に!

物語では、この折れたバットこそ左門豊作の執念として描かれていて、その執念の背景にあるのは兄弟たちの力です。
おそるべき、左門豊作の兄弟!

対決後、甲子園を去る左門と決勝戦を控えた飛雄馬が出会うシーンがあります。
この時に、新聞記者が左門に、「巨人の川上監督が、左門を取るようスカウトに命令を下した」という話を伝え、飛雄馬が「良かった・・・」と言って、泣いて喜びます。
これが、左門と飛雄馬の友情のきっかけともなり、やはり左門の兄弟はここでも重要なファクターになっているんですね。

左門豊作が兄弟たちと住んでいた街は、東京都杉並区

ところで、左門豊作がプロ入りしてから、兄弟を呼び寄せて暮らしていた場所って、どこか知ってますか?

実はこれ意外なんですが・・・東京都杉並区です。
東京都杉並区の「みどり荘」、2DKで、兄弟6人仲良く暮らしてました。

彼が大洋ホエールズ(現在のDeNA)に入団していることを考えると、なぜ横浜ではないのだろう?という疑問も残りますね。

いつも、左門が家に帰るまで、兄弟皆で食事を待っているようですね。
ナイター終わってから豊作が家に着くのは相当遅いはずで・・・幼い子もいるのに大丈夫なのかな?と少し心配です。笑

大リーグボール1号を打倒できない左門と兄弟の愛

鉄球訓練で大リーグボール1号を花形が打倒した日、左門は辛い思いをしていました。

大リーグボール1号は打倒したものの、鉄球訓練の代償で、花形は入院。
兄弟を養わなければならない左門には、花形の特訓のような無理はできません。
左門には、花形の財閥御曹司というめぐまれた環境が羨ましく、悔しいのです。

家に帰ると、兄の心配をしていた兄弟。
左門は兄弟に心配をかけないよう、ニコッと笑い、兄弟たちも安心して一家団らんを楽しんでいる

ところが、そこに新聞記者が乱入。(この時期の漫画って、だいたい、心無い大人が家庭の平和を乱しますね〜)
不躾に、花形の件でコメントを求めるのです。

おもわず本音をもらす左門。
兄弟たちも左門の苦悩がわかり、抱き合って泣きます。

巨人の星は、飛雄馬のド派手な魔球が中心に語られることも多いですが、一方で、こういった「プロで飯を食う」という現実もしっかりと描いている漫画なのです。

その後、左門兄弟の三男まさひろの鋭い指摘があります。
「シーズン最後の試合でホームランを打って、悠々入院したらいい」
実はこれ、この後に阪急の西本監督の指示で、スペンサーが実践します。
なんと鋭いまさひろ!!

大リーグボール2号の偵察を許さない左門。兄弟にしっかりと背中を見せる。

大リーグボール1号がライバルに通用しなくなり、大リーグボール2号の完成に向けて猛特訓をする飛雄馬。

左門が、「飛雄馬は必ず大リーグボール2号を完成させる。その時は自分が打つと」言っていたのを聞いた兄弟達は、多摩川の巨人軍グラウンドで特訓する飛雄馬の偵察をします

しかもこれ、子供だけでタクシーに乗って、東京都杉並区の自宅 → 多摩川グラウンド → 東京都杉並区の自宅を往復するという大胆な行動。
さらにさらに、、、タクシーの後部座席に5人乗ってました!

で、ここで左門兄弟三男のまさひろが、大リーグボール2号の正体を双眼鏡で発見します。
(双眼鏡で球筋を追うのって結構難しいのに、「ずっと直球だけ投げている」とか分析しているシーンもあって・・・まさひろ凄いな・・・汗)

さて、家に帰って左門にこの話をしようとした兄弟。
しかし左門は、
「渇しても盗泉の水は飲まず」
と言って、スパイ=盗みだとして、兄弟達の話を聞き入れません。

ここでもまた、三男まさひろが登場。
どうしても左門に大リーグボール2号の正体教えたくて、「消える・・・」を言おうとした瞬間、左門はまさひろの口を塞ぎ、
「それ以上言うたら、お前は左門豊作の弟ではなくなり、わしは星飛雄馬のライバルではなくなるたい」
と言って、最後までスパイ行為を許しませんでした。

そして左門は試合に出かけます。
破れた靴下で試合に行く左門を、涙で見送る兄弟。
「10円のおつりをもらうあんちゃん、やぶけた靴下で試合に行く兄ちゃん、でも素晴らしいあんちゃん」
という兄弟愛溢れるシーンはとても印象的でした。

巨人の星のラストシーンにも、左門豊作の兄弟は登場

巨人の星の漫画では、ラストシーンが左門豊作と京子の結婚式になっています。

左門と京子の結婚式を、教会の窓から人知れず、一目見て去る飛雄馬。

その結婚式のシーンには、当然ながら、左門豊作の兄弟が出ています。

飛雄馬は常にいばらの道を歩き、決して幸せにはならない。
でも、そんな飛雄馬の周りで、幸せを掴んだ人、幸せに咲いた一輪の花の存在をしっかりと描いている巨人の星。

飛雄馬と対をなして物語を構成していた人物は、実は左門豊作の兄弟だったのではないか?とすら思ってしまいます。


他にも、巨人の星に関するネタを書きました。
良かったら、読んでみてください。