都立入試問題 平成29年度(2017年度) 社会大問1の解説です。
都立入試や高校受験全般という観点で解説を書いていきます。
過去問を解いたときなどの参考にしてください。
その問題の解き方だけでなく、併せて覚えておくべき周辺知識も簡単に紹介します。
大問1は、各小問は地理・歴史・公民となっている混合問題。
地図の読み取りやその年にまつわる簡単な問題などが出題されやすいところ。
配点は各5点で合計15点です。
都立高校の過去問は、東京都教育委員会のWEBサイトで閲覧およびDLをすることができます。
必要に応じて参照してください。
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問1 地図・地形図の読み取り
基本的な地図の読み取り問題です。
情報が多いので少し時間がかかるかもしれません。
まず、頭に入っていないといけないのは方位。
8方位と16方位は覚えておかないと地理の問題は話になりません。赤字で示しているのが8方位、それに青字を加えたのが16方位です。
その上で問1の解説です。
まず、問題を読んで”何をやるのか”を冷静に読み取ります。
簡単にまとめると「A地点からB地点まで、PQRSの順で進んだ。Ⅰを参考にしながら、その道順をⅡの地図に書き込め」ということ。
PQRS地点での各ポイントをまとめます。
全てを考えなくても問題は解けますが、ヒントが多く含まれているということは意識をしておきましょう。
上記のⅠ地図中にPQRS地点と道順も記載したので、照らし合わせながら解説を読んでください。
- P地点
「駅を背にして」というのは駅からスタートするというだけですね。
「南西」「南東」などの方位が書かれているので、その方向に進みます。
「銀行のある交差点」はⅠ地図中に2箇所あるので、駅から南西に進んだ時点の銀行がある交差点だということを読み取ります。 - Q地点
P地点から南東に進みます。
Ⅰ地図中の吹き出しに「銀行や信用金庫のある商店街」と書いてあるので、その道ですね。
「約550m」というのは、Ⅰ地図の左下にある目盛りを使うとだいたいわかります。
100mの長さなので5-6倍の距離が約550mです。
この道を進むと、丁字路はあるものの十字路はあまりありません。
約550m進んだところにある十字路ということでQ地点が特定できます。 - R地点
Ⅰ地図中に「地形図にはない橋」「古い町並を保存した地域」が吹き出しで書かれているので、そちらと照らし合わせます。
また「地形図にはない橋」の「手前にある川沿いの道路」を通るので、ここで橋を渡ってはいけません。
間違えやすいポイントですね。 - S地点
「忠敬橋」の位置を確認して、この橋を渡ります。
あとは川沿いに進んでB地点に向かえばゴールですね。
その道順に従って、Ⅱの地形図中に書き込めば解答になります。
Ⅰ地図には「地形図にはない橋」があるので、Ⅱに道順を書き込む時は注意をしましょう。
問2 日本地理と歴史の複合問題
Ⅱの説明文にあてはまる世界遺産の場所を、Ⅰの地図中から選択する問題です。
結論から言ってしまうと、Ⅱで説明している世界遺産は「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-」の「中尊寺」になります。
「岩手県平泉にある中尊寺など」ぐらいに覚えておけば高校受験では問題ありません。
Ⅱの説明文中でヒントとなるポイントを整理していきます。
どのワードからも「平泉の中尊寺」を思い浮かべられるようにしておいた方がいいですね。
- 奥州藤原氏、金で装飾された阿弥陀堂
中尊寺は、平安時代に奥州藤原氏が岩手県平泉に建てた浄土教の建築物です。
金箔で装飾された「中尊寺金色堂」として覚えてしまっても構わないです。
金色堂は中尊寺敷地内にある阿弥陀堂です。
高校受験において出題される金色の建築物は「中尊寺金色堂」と「鹿苑寺金閣」(俗称:金閣寺)ですね。同時代の浄土教の建築物として、「平等院(平等院鳳凰堂)」も覚えておきましょう。
こちらは、藤原頼通が京都府宇治に建てた建築物です。 - 平安時代後期に起きた前九年合戦と後三年合戦
前九年の役・後三年の役とも表記されます。
平安時代に東北地方で起きた武士による反乱です。
ここで東北地方のことを言っているかもしれない、という連想ができるとより良いですね。 - 2011年の世界遺産
世界遺産に登録された年号は基本的に覚える必要はありません。
しかし、その年号だけでも一応ある程度は判断することはできます。
また、新しく世界遺産に登録されたものなども出題される可能性があるので、覚えておきましょう。
他の選択肢の建築物も併せて簡単にまとめておきます。
世界遺産の中でも比較的出題に絡みやすいものが多いですね。
- ア 中尊寺金色堂(平泉)
- イ 日光東照宮(栃木)
- ウ 姫路城(兵庫)
- エ 石見銀山(島根)
問3 政治(選挙制度)
選挙制度に関する問題です。
現代の選挙への関心などの観点から、出題されやすいジャンルのひとつですね。
日本の選挙制度は細かい点も含めて、しばしば改正されています。
高校受験において覚えておくべきポイントは以下の通り。
- 1889年 第一回衆議院議員総選挙
この時の選挙権は「直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子」です。 - 1925年 普通選挙法の制定
大正デモクラシーなどを経て、この段階で「満25歳以上の全ての男子」に選挙権が与えられます。 - 1945年 戦後の民主化
戦争が終わり、民主化政策の一環で「満20歳以上の全ての男女」に選挙権が与えられます。
ここでようやく女性にも選挙権が与えられたことになりますね。 - 2015年 選挙法の改正
成人年齢の引き下げなどに伴い「満18歳以上の全ての男女」に選挙権が与えられます。
また、問題の選択肢にある用語についても簡単にまとめておきます。
全て日本で採用されている選挙制度なので覚えておいてください。
- ア 平等選挙
1人1票の投票ができるということ。 - イ 直接選挙
これは少し難しいです。
国民が、議員や知事に直接投票して選ぶことを直接選挙といいます。
しかし、例えば総理大臣などは衆議院議員が選ぶので、国民が直接選挙で選んでいるわけではありません。
また、日本は間接民主制であるので、それと混同しないように注意しましょう。 - ウ 秘密選挙
誰が誰に投票したかわからないということ。 - エ 普通選挙
納税額に関わらず、一定の年齢であれば全ての人に選挙権が与えられること。
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