高騰する欧州サッカーの移籍金。
超有名選手だと100億円を超えることもしばしばあります。
その多額の移籍金をユニフォームの売り上げなどで回収することもある、というから驚きですね。
しかし、この移籍金、本当にそんなに必要なのでしょうか。
クラブの属する地域や選手の国籍によってルールの違いはあるものの、主に欧州サッカーの移籍金について簡単に解説します。
出来高払いや代理人への報酬など細かい規定も色々ありますが、今回はそこは省略します。
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サッカーの移籍にまつわるいろいろな「お金」
欧州サッカーの実情を中心に、サッカー選手の移籍にまつわるお金を動きを簡単にまとめてみます。
年俸と移籍金の違いは?
移籍のシーズンになると、「移籍金30億円、年俸5億円でサイン」などと報じられます。
まず、年俸と移籍金の違いをおさらいします。
年俸はクラブから選手に支払われる給料です。
さらに言うと、選手の年収と年俸も違うもので、年収はクラブからの年俸+CMの契約金などですね。
移籍金は移籍先のクラブから移籍元のクラブに支払われるもので、すごく簡単に言うと選手の売買にかかるお金です。
しかし、表面的にはそうなんですが、実は制度上は選手を売買しているわけではありません。
移籍金とは違約金である
例えば、選手AがクラブXに所属しているとします。
所属している時というのは、給料の他にも契約年数も決まっています。
つまり選手Aは、クラブXと「年俸3億円、4年契約」などの約束をしているのです。
(タイトルを獲ればボーナスなど、細かいものはさておき)
そのまま4年間所属していれば契約が満了するのですが、他に魅力的なクラブから声がかかれば途中で移籍したくなることもあります。
すると、4年を待たずして、途中で契約を打ち切って移籍することになります。
途中で契約を打ち切っているので、その時に違約金が発生してしまうのです。
その違約金が30億円に設定されていたとします。
すると、契約を途中で打ち切リたい選手Aは、クラブXに対して30億円の違約金を支払わないといけないのです。
本来であれば、業務上の契約とはそういうものですよね。
しかし、いくら人気選手といえど違約金30億円支払うのは難しいので、移籍先のクラブYが肩代わりして移籍元のクラブXに支払ってくれるのです。
それがいわゆる移籍金です。
いちいちそんなまどろっこしいことを考えていても仕方ないので、移籍金は選手の売買にかかってるお金と解釈していいわけです。
移籍金0のフリートランスファーとは?
逆に4年契約を満了した場合は、違約金が発生することはありません。
つまり、移籍先のクラブYは移籍金なしで選手Aを獲得することができます。
これをフリートランスファーともいいます。
その方がいいじゃん!と思いますが、サッカー選手のコンディションは1年で大きく変わります。
1年後、2年後に獲得する価値があるかどうかはわかりませんからね。
また、フリートランスファーの場合は、獲得において競合するクラブも増えます。
例えば、クラブZが「(多額の移籍金は払えないけど)Yより高い年俸は払える」と提示したとします。
選手に入ってくるお金は移籍金ではなくて年俸なので、そうなってくると選手としてはクラブYよりもクラブZの方が魅力的に映るかもしれません。
以上のような理由から、クラブYとしては高い移籍金を支払ってでも、クラブXとの契約が終わる前に選手Aを獲得したいという判断が成り立つのです。
移籍金が同じぐらいであればトレードも
サッカー選手の移籍金は違約金でもあり、その選手の市場価値でもあります。
選手の市場価値が同じぐらいと判断された場合はトレードも有り得ます。
2017-18年の冬の移籍市場で、サッカー界にしては大型のトレードがありました。
アーセナルFCに所属していたアレクシス・サンチェス選手と、マンチェスター・ユナイテッドに所属していたヘンリク・ムヒタリアン選手です。
詳しい経緯はわかりませんが、サンチェス選手を獲りたいマンチェスター・ユナイテッドが同等の市場価値があると思われたムヒタリアン選手を移籍金の代わりに放出した、という流れですね。
欧州サッカーの場合は、移籍が頻繁に行われて高額な移籍金が何クラブか巡っただけ、ということもあります。
しかし、この例のように直接的なトレードは珍しいですね。
小さなクラブにも嬉しい「連帯貢献金制度」
高騰する移籍金は、何もトップクラブだけの話題ではありません。
とりわけ優秀な選手、基準としては国や地域を跨いで移籍する(異なるサッカー協会への移籍=国際移籍)選手に対して、FIFAは「連帯貢献金」という制度も定めています。
移籍金というのは選手の市場価値ともいえます。
その選手の価値というのは、その選手を育てたクラブすなわち若い頃に所属してたクラブの成果とも考えられます。
ですので、新しい移籍先のクラブは、そのとりわけ優秀な選手が若い頃に所属していたクラブにもお金を支払う義務が生じるのです。
(ただし、若い頃の所属クラブが英語で申請しないといけない)
金額としては、12歳から15歳まで所属していたクラブには1年あたり移籍金の0.25%、16歳から23歳まで所属していたクラブには1年あたり移籍金の0.5%となっています。
0.25%*4年+0.5%*8年なので合計で移籍金の5%分までは、連帯貢献金として若い頃の所属クラブにも支払わないといけないということですね。
「なんだ、たった0.25%か…」と思うかもしれませんが、現在の高騰する移籍市場を考えるとかなりの金額になります。
香川真司選手が移籍した時の連帯貢献金は?
ドルトムントからマンチェスターユナイテッドに移籍した香川真司選手を例に計算してみます。
(細かい月日まではよくわからないので、年単位でだいたいの計算します)
まず、香川選手がドルトムントからマンチェスターユナイテッドに移籍した時の移籍金がおよそ15億円。
香川選手は、12歳から16歳までFCみやぎバルセロナに所属していたので、
15億円*0.0025*3+15億円*0.005*1=1875万円
また、17歳から21歳までセレッソ大阪に所属していたので、
15億円*0.005*5=3750万円
さらに、23歳までドルトムントに所属していたので、
15億円*0.005*5=1500万円
これらの金額が移籍金以外に動くわけです。
ドルトムントにとっては、そもそも15億円の移籍金があるので1500万円ぐらい増えたところでという感じかもしれませんが…。
セレッソ大阪の3750万円、これだけあればJリーグの選手は数人分の年俸は支払えます。
さらにFCみやぎバルセロナ、クラブチームとしては名門かもしれませんが、それでも日本のローカルクラブです。
1875万円もの臨時収入があれば、劇的に設備や人材に投資することが可能です。
まとめ
世界には多くのサッカーファンがいます。
移籍金や年俸が高騰しても、それを支えられるだけのファンがいるわけです。
どうしても金額の大きさに驚いてしまいますが、サッカーの本当に素晴らしいところはそのファンの多さ。
小さな国でも貧しい国でもサッカーをやっている人がいます。
そんな人たちも等しく夢を持ってサッカーにチャレンジできるように願っております。
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