「かえる」という言葉には、非常に多くの漢字があてられます。
「替える」「換える」「代える」「変える」があります。
「かわる」も同じくです。
これらの意味の違いや使い分けがわからなくて困ることもしばしばありますよね。

この記事では、「かえる」「かわる」で使う「変」「替」「換」「代」の違いを解説していきます。
最後に、確認用のチェックテストもあるのでぜひチャレンジしてみてください!

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「かえる」の意味の違いと使い分け

「かえる」「かわる」で使う「変」「替」「換」「代」の意味の違いや使い分けについてまとめます。
わかりやすいように「かえる」で統一していますが、「かわる」の使い分けもほぼ同じだと思って大丈夫です。

(意味は、小学館の大辞泉や三省堂の大辞林を参考にしています)

「変える」の意味と使い方

「変える」の意味は、「今までの状態と違った状態にする」ということ。
「かえる」の中でも一番わかりやすいですね。

使い方の例としては、

  • 髪型を変える。
  • 電話番号を変える。

などがあります。

「換える」の意味と使い方

「換える」の意味は、「別のものと取りかえる」ということ。
しばしば、あるものを同等の価値があると思われる別のものと取りかえる場面で使われます。
まさに「交換」という熟語のニュアンスです。

使い方の例としては、

  • いらない本をお金に換える。
  • 新宿駅で電車を乗り換えた。

などがあります。

「替える」の意味と使い方

「替える」の意味は、「(新しい)同じ種類のものと取りかえる」ということ。
古くなった・使えなくなったものを新しいものと取りかえる感じです。
ラーメンの替え玉を想像するとわかりやすいかもしれません。

使い方の例としては、

  • ボールペンが使えなくなったので新しいものに替えた。
  • カミソリの刃を替える。

などがあります。

「代える」の意味と使い方

「代える」の意味は、「(本来は別の役割の)違うものに同じ役割をさせる」ということ。
こちらは「代用」や「代理」という熟語のニュアンスが一番近いですね。

使い方の例としては、

  • お金は命には代えられない。
  • 傘の代わりに鞄で雨をしのぐ。

などがあります。

難しい使い分け

これらの「かえる」は、上記のような意味の違いがあります。
しかし、単純な文章だけだと、どれを使えばいいのかわからないこともしばしば。
その場面で伝えたいニュアンスによって使い分けが必要になってきます。

しかし、逆に言うと、使い分けが難しいときはひらがなで書くのもありです。
相手に違和感や誤解を与えるぐらいならひらがなで書く、というのは正しい判断でしょう。
私もそういうときは多いです(笑)
あまり細かいことを気にしすぎるのは野暮ということもありますしね。

「取り替える」と「取り換える」の違い

例えば、「電球をかえる(取りかえる・入れかえる)」という文を考えてみましょう。

普通に考えると、「電球が切れたので新しい電球にかえる」という状況です。
それであれば、「電球を替える」「電球を取り替える」「電球を入れ替える」という書き方が正しいといえるでしょう。

しかし、もし「電球が気に入らないから、他の色や他の形状にかえる」という状況だとどうでしょう。
その場合は、別のものにするというニュアンスが強くなるので「電球を換える」「電球を取り換える」「電球を入れ換える」ですね。

また、取りかえるわけじゃないけどスイッチで「電球の強弱などをかえる」という状況もあるかもしれません。
そんなときは「電球(の明るさ)を変える」ということもあり得ます。

「交代」と「交替」の違い

野球の試合などで、「選手をかえる」という場面があります。
いわゆる「こうたい」なのですが、「こうたい」も「交代」と「交替」があるので難しいですね。

これらについては意味の違いだけでなく、慣例的な使い分けも含まれている気がします。

野球の代打や代走という言葉があるように、「選手を代える」というのが基本。
ところが、スタメンなどをかえるときは「メンバーを交替する」と表記しています。

これらの違いは、

  • 一度交代したら完結する場合は「代える」「交代する」
  • 再度交替する可能性がある場合は「替える」「交替する」

という点です。

野球やサッカーは、試合中に選手を交代したら同じ選手をまた繰り返し使うことはできません。
しかし、スタメンに関しては、A選手からB選手に交替しても、次の試合でまだA選手に交替することができます。
また、バレーボールは、試合中であっても選手を繰り返し使うことができるので、「交替」が正しいですね。

「かえる」の使い分けチェックテスト

理屈としてはわかっても実際に使い分けるのはなかなか難しいもの。
そこで、いくつか問題を作ってみましたので、チャレンジしてみてください。

次の文の、太字の部分を漢字にしてみましょう!

チェックテスト 問1

僕の何気ない一言で、彼女は態度をえた。

解答と解説

えた

明るかった彼女の表情が、一変して曇った表情に…。
違った状態になっているので「変える」が正しいですね。

チェックテスト 問2

万年筆のインクが切れたので、新しいインクに取りえた。

解答と解説

取りえた

同じ種類のものだけど新しいものにかえる場合は、「替える」を使います。

チェックテスト 問3

背に腹はえられぬ。

解答と解説

えられぬ

腹は内臓があって大事なもので、背中に腹の代用はできない。
背中が少し犠牲になっても構わない。
というところから生まれた慣用句ですね。
意味は、「大事なものの代わりはないので、多少の犠牲は仕方ない」ということです。
今回は漢字にしましたが、慣用句としてはひらがなで書いても全く問題はありません。

チェックテスト 問4

上段と下段の引き出しの中身を入れえた。

解答と解説

入れえた

「入れ替える」と「入れ換える」で迷うところです。
この場合はお互いの引き出しの中身である、別のもの同士の交換なので「入れ換える」が正しいですね。

「かえる」の意味の違いと使い分けまとめ

これらの漢字は、なんとなく使っていても意味が伝わることが多いです。
なぜなら、自分が伝えたいニュアンスを、意識するしないに関わらず多少なりとも相手が読み取ってくれるからです。
逆に言えば、正しく伝わらないこともあるかもしれません。

正式な文章を書くときや、相手に違和感や誤解を生ませたくないときは、正しく使い分けるように心がけましょう!

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