魔送球・・・って覚えていますか?
巨人の星で、飛雄馬の父一徹が編み出した変化球。

大リーグボール1号、2号、3号という3つの魔球で語られることの多いこの作品ですが、実は、飛雄馬が魔送球を受け継ぎ、応用し、そして乗り越える物語としてみることもできるのです。
そんな観点で、ちょっと魔送球に焦点をあてて、巨人の星のストーリを眺めてみたいと思います。

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魔送球は、一徹が巨人復帰を果たすための切り札だった

戦前に一度巨人に入団しながらも兵役で退団。
戦後に再入団した時には、戦争で肩を壊し、一徹は三塁手としての肩の強さがなくなっていました。

そこで編み出したのが魔送球。

一塁に走っていくランナーをめがけて投げ、当たる寸前でボールが変化。
ファーストのミットに収まるという魔球です。

ランナーはボールが当たるのでは?という恐怖で一瞬足を緩めるため、肩の弱い一徹でも、サードからの送球が間に合うというわけです。
ところが、これを見た川上哲治は、一徹に、引退をせまります。

魔送球はいわばビンボール。
伝統ある巨人軍にはふさわしくないと。

一徹は巨人を去ります。
そしてここから、一徹と飛雄馬の物語が始まったと言えるでしょう。

長島茂雄に入団会見で魔送球を投げた飛雄馬

幼い時から、父一徹に野球の英才教育を受けた飛雄馬。
もちろん魔送球も受け継いでいます。

この飛雄馬、こともあろうに、長嶋茂雄の入団会見に乱入し、魔送球を投げつけます。
ところが長嶋はこともなげに魔送球を避けてしまいます。

魔送球は長島に通用しなかった・・・

それが悔しくて、飛雄馬は泣きながら帰宅。
父一徹も同じ悔しさで、せっかく月賦で買ったテレビを壊してしまいます。

ここで、飛雄馬を追ってきた人物が一人。
川上哲治です。

彼は、飛雄馬の正確無比なコントロールを見て、飛雄馬が、未来の巨人の星になってくれるよう願ってその場を去ります。

巨人の入団テストを魔送球で合格した飛雄馬

高校を中退して巨人軍の入団テストを受けた飛雄馬。

ライバル速水との対決で、セーフティーバントをされ、一塁送球が間に合わないと悟った時・・・
とっさの判断で魔送球を投げます!

アウトになる速水。
唖然とする周囲。

飛雄馬は、川上監督が魔送球を理由に一徹に引退を迫ったことをしっていたため、自分も入団できないと思います。

ところが川上監督は、飛雄馬に、魔送球はこの場限りのこととして合格を言い渡します

巨人軍入団を魔送球によって決めた飛雄馬。
煌々と輝く未来を予感させるシーンでした。

ここまでは魔送球と飛雄馬の関係は守・破・離の「守」。
父の与えた魔送球を使って、人生の転機を迎えています。

大リーグボール2号は、魔送球を昇華させた魔球!

大リーグボール1号を破られ、大リーグボール2号を編み出した飛雄馬。

大リーグボール2号は、いわゆる消える魔球。
これは魔送球を縦に変化させたものでした。

さらに、地面すれすれの砂埃を巻き上げ、投球時に高く上げた足から落ちる砂を使って、ボールが消えたように見せるというカラクリ。
魔送球を使いこなし、応用させ、別のものへと昇華させました。

まさに、守・破・離の「破」。
父の魔送球を破り、進化させたわけですね。

常識を超える魔球に、球界は騒然。
現実社会でも、私たちおじさん世代は、消える魔球ごっこを夜やってまして・・・まさしく巨人の星の代名詞になっていましたね。

大リーグボール3号は魔送球とは別物

飛雄馬は、大リーグボール3号によって、パーフェクトゲームを演じ、伝説のマウンドで巨人の星になります。

大リーグボール2号が打たれ、新たに生み出した魔球は、バットを避けて通る魔球

これは魔送球とは別物。
父一徹が教えた正確無比のコントロールとも、上手投げから繰り出される豪速球とも無縁。
下手投げから放たれるボールは遅く、ノーコンで・・・正体不明の不気味さを持っていました。

そして、無理な投げ方によって飛雄馬の左腕は破壊されますが、中日戦で、父一徹と親友伴のコンビを破った飛雄馬。
父一徹は、敗北を認め、
わしら親子の勝負は終わった
という言葉で、最後を締めています。

まさしく、魔送球から離れて独り立ちした「離」の瞬間。
巨人の星はエンディングを迎えました。

巨人の星について、そのほかにも気になることをまとめてみました。
良かったら、読んでみてくださいね。

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