都立入試問題 平成29年度(2017年度)社会大問2の解説です。
都立入試や高校受験全般という観点で解説を書いていきます。
過去問を解いたときなどの参考にしてください。
その問題の解き方だけでなく、併せて覚えておくべき周辺知識も簡単に紹介します。

大問2は世界地理の問題。
細かい知識を覚えることも大切ですが、まずは各国のざっくりとしたイメージを掴むことも大切です。
また、意外と知識がなくても解ける問題も多いので、諦めずに頑張りましょう。
配点は各5点で合計15点です。

都立高校の過去問は、東京都教育委員会のWEBサイトで閲覧およびDLをすることができます。
必要に応じて参照してください。

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問1 世界地理(気候・地形)

略地図が与えられているので、まずはそちらを見てみます。出題される国が色分けされています。
全ての国が分かる必要はありませんが、よく出題される国は場所と名前を一致させておきましょう。

問1は、気候や地形にまつわる問題です。アルゼンチン以外は、あまり馴染みのない国かもしれません。
知っているに越したことはありませんが、問題へのアプローチとしては必須ではありません。

まず、選択肢では海流について触れています。
そこで重要になってくるのが赤道の位置です。
世界地理を学習する上で、赤道の位置は必須となる知識です。
略地図中にさっと書き込めるように確認しておきましょう。

上記の画像に赤道を書き込んであります。
大原則として、赤道の周辺は暖かく、赤道から離れるほど(北極・南極に近づくほど)寒いと思って構いません。
それは気候も海流も同じです。
つまり、赤道付近から流れている海流は暖流で、極付近から流れている海流は寒流です。
また、赤道付近は熱帯が広がっているという認識も併せてしておきましょう。

その上で、各選択肢を見ていきます。
各選択肢がA〜Dのどの国についての説明なのかを判断していきます。
解答となる選択肢がわからなくても、分かるところから消去法で削っていきましょう。


  • 「東から西へ暖流」というのは、言い換えると「右から左に暖流」ですね。
    この中だとDだけしか該当しないので、それだけで判断できます。
    また、「年間を通して高温」「雨季と乾季」というのは、熱帯の特徴にあたります。
    ですから、赤道付近の国であることも予想できます。
    アは、Dのドミニカ共和国です。

  • 「北上する暖流」は「上に向かう暖流」です。
    この中だとBだけしか該当しないので、それだけで判断できます。
    あとはその国の知識がないと決定的な判断材料にはなりませんが、「火山性土壌」「好漁場」「水産業」などから島国であると予想することはできます。
    また、ヨーロッパの西部は偏西風の影響で温暖になるというのは、覚えておいた方が良い知識ですね。
    イは、Bのアイスランドで、これが正解です。

  • 「北上する寒流」はAもCも当てはまります。
    「国土の西側にある山脈」という点は、Cとその隣のチリの国境にあるアンデス山脈を指しています。
    アンデス山脈は場所を覚えておきましょう。
    「大平原」「小麦」「牧畜」なども特徴ですね。
    ウは、Cのアルゼンチンです。

  • ウと同じく「北上する寒流」はAもCも当てはまります。
    あまり出題頻度の高くない国ですので、よくわからない点が多いと思います。
    しかし、「砂漠」「乾燥帯」などから”アフリカ大陸の国かもしれない”ぐらいのイメージはしておきましょう。
    エは、Aのナミビアです。

問2 世界地理(文化・産業)

問2は、歴史的背景を踏まえた言語などの文化と、農業などの産業についての問題です。ブラジル・キューバ・アメリカ合衆国は出題頻度の高い国なので、名前と場所を一致させておきましょう。

各選択肢を見ていきます。


  • 主に「スペイン」の影響を受けているのは中南米の国々です。
    大航海時代に中南米の多くの国がスペインの植民地となりました。
    ざっくりとしたイメージとして、ブラジルは元ポルトガルの植民地で、他の中南米の国は元スペインの植民地という認識をしておきましょう。
    また、「社会主義国家」としても歴史的事件であるキューバ危機が起きています。
    アは、中南米カリブ海に浮かぶ島国であるYのキューバで、これが正解です。

  • 元フランスの植民地として判断するのは難しいところですね。
    「アラビア語」を使う「イスラム教徒」が多いのは、アフリカや西アジアの一部の地域です。
    そのあたりからなんとなく判断できれば良いかと思います。
    イは、Wのモーリタニアです。

  • フランス同様、元イギリスの植民地も各地に多いので、それだけだと判断が難しいです。
    しかし、アメリカは「1776年にイギリスから独立した国」として、覚えておかないといけません。
    また、その時の「初代大統領ワシントン」「独立宣言」なども併せて覚えておきましょう。
    「プロスポーツにおいて複数の日本人選手が活躍している」というのは、野球のメジャーリーグのことを指しています。
    ウは、Zのアメリカ合衆国です。

  • 選択肢アで書いたとおり、元ポルトガルの植民地で代表的なのがブラジルです。
    また、やや判断しづらいですが「キリスト教徒が多い」「さとうきびを原料とするバイオ燃料」というのも特徴。
    さらに、この選択肢には書いていませんが、コーヒーの生産も多いですね。
    エは、Xのブラジルです。

問3 世界地理(産業・貿易)

問3は、工業などを中心とする産業や貿易についての問題です。一見、難しそうな問題ですが、実はあまり知識がなくてもⅠ・Ⅱの選択肢は判断ができます。
冷静に文章を読み、表のデータと照らし合わせましょう。
略地図中の記号を選ぶのは少し難しいですが、最低限の知識だと思って覚えておきましょう。

まず、Ⅲの文章をよく読んで、Ⅰ・Ⅱの表と照らし合わせていきます。
ポイントは以下の通りです。

  • 鉱産資源
    Ⅲの文で述べている国は、鉱産資源が多く採れるようです。
    おそらく日本も多く輸入していると考えられるので、Ⅰの表の中から鉱産資源に該当するものを見つけます。
    石炭・石と砂・金・白金・鉄鉱石などが鉱産資源に該当します。
    エではなさそうなので、ア・イ・ウのどれかである可能性が高まります。
  • 2013年の日本の輸入額の上位3位の品目の中に、1985年には入っていなかった乗用車が入るようになった
    Ⅰの表の中で、1985年に乗用車が入ってないけど、2013年に乗用車が入っているものを見つけます。
    イとウが当てはまりますね。
  • 輸出額の上位3位までの貿易相手国には、1985年と2013年にアメリカ合衆国が入っている
    Ⅱの表の中で、1985年と2013年の両方で、輸出額上位3位以内にアメリカ合衆国が入ってるものを探します。
    イとエは、1985年にしか入っていません。
    アとウは、1985年にも2013年にも入っています。
  • 2013年の輸出額、輸入額の上位3位までの貿易相手国の中に、1985年には入っていなかった中華人民共和国が入るようになった
    1985年にはなかった中華人民共和国が、輸出入ともに2013年に入るようになったものを探します。
    ア・ウ・エが当てはまります。

以上から、Ⅰ・Ⅱの表ではウが正解ですね。
年度や輸出入など冷静に読んで判断をしましょう。

また、貿易相手国は近くの国であることが多いので、それを利用して他の国を判断することもできます。
(アメリカや中国は規模が大きいため、どこの国とも貿易していますが…。)

Ⅱの選択肢イは、スペインを中心にイギリス・ドイツ・フランスなどヨーロッパの国が多いです。
ですので、この問題の中であれば、スペインの隣であるポルトガルであると予想できます。
また、選択肢エは、ブラジル・アルゼンチンなどの南米の国が多くなっています。
そう考えると、南米のウルグアイである可能性が高くなりますね。
選択肢アは少し難しいですが、常にアメリカ合衆国と貿易が盛んなようです。
だとすると、アメリカの隣であるカナダかもしれない、ぐらいには考えられます。
また、地図で確認するとカナダはイギリスからも近いことがわかります。

細かいデータを覚えておく必要はありませんが、このようなイメージを持てるようにしておくことは大切です。

続いて略地図の選び方。
Ⅲの文中の「大西洋とインド洋を分ける東経約20度の子午線」という点から、Pを選べればベストです。
また、鉱産資源(特に金・白金・ダイヤモンド)の産出が多いという点から、南アフリカ共和国であることも判断できるようにしておきましょう。

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